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コラム Vol.9

【かがわ文化芸術祭2024・かがわアート塾】Kagawa Brass Rings第20回定期演奏会

かがわ文化芸術祭実行委員会では、主催行事として、同祭の参加公演・行事の中から、長く継続している顕著な活動を選定し、その公演・行事を題材として文化芸術活動の魅力を再発見する講座「かがわアート塾」を実施しています。

今回は、今年、選定された参加公演行事「Kagawa Brass Rings第20回定期演奏会」をご紹介します。


2024年12月28日、三木町文化交流プラザ メタホールで開催された「第20回Kagawa Brass Rings定期演奏会」は、多くの観客に感動を届ける素晴らしい時間となりました。
今回は、民謡やディズニーの曲など、バラエティに富んだプログラム構成で、あまり金管バンドに馴染みのない人など誰でも聴きやすい演奏会にしようと、親しみやすい曲から、金管楽器の魅力を最大限に感じられる曲まで、多彩な楽曲が用意されました。

Kagawa Brass Ringsは、常設された楽団ではなく、様々な音楽団体の人たちが1ヶ月に1回集まって練習し、年に一回演奏会を開いている団体です。この定期演奏会をお祭りのように、世代を超えて楽しんでおり、今回も、その温かい活動の一端を感じることができました。


代表の池田晴幸さんは、メンバーの中で唯一、22年前の立ち上げ期からずっとこの団体に携わっています。
そもそもKagawa Brass Ringsが生まれたきっかけは、近隣の3団体合同で演奏会ができたらいいなと、少人数のアンサンブルの演奏会を開いたことがはじまり。せっかくなので最後の1曲を合同で演奏しましょうということになり、みんなで練習をしていたら、それが楽しくて、毎年続けるようになり、現在の形になったそうです。池田さんも、まさかここまで長く続くとは思わなかったと当時を振り返ります。


 

音楽に対する想いが熱いメンバーが集い、楽しく活動を続けているKagawa Brass Rings。池田さん自身も38年前からトランペットやコルネットを演奏してきて、今では楽器が体の一部のような存在になっているのだとか。

年齢層は幅広く、大学生から定年退職後の60代まで、年齢や職業を超えた交流の場としても機能しています。社会人だと、なかなか月1回の練習にも来られないこともありますが、それぞれが個人練習などを重ねて本番にのぞんでいます。

金管バンドは関東や関西では盛んですが、地方ではめずらしい存在で、香川ではKagawa Brass Ringsだけ。池田さんは、金管楽器ならではの重厚なサウンドと、迫力あるサウンドもあれば、きれいなサウンドもあるので演奏会ではそれをお客様にも楽しんでもらいたいと話していました。
 

また今回の演奏会では小学生が友情出演されるということで、池田さんは「大人と小学生のコラボレーションの機会に、子どもたちにも良い影響を与えられるといい。大人はどういう風に息を吸っているのか、映像や演奏会で見るのと、隣で吹くのとでは全然違うので、ぜひ体感してもらえたら」と語りました。

 

第1部:ファンファーレで華やかな幕開け
 


演奏会は、20周年記念のオープニングにふさわしい曲「リバティ・ファンファーレ」でスタート。続く日本民謡組曲「わらべ唄」では、「あんたがたどこさ」や「通りゃんせ」など3つの日本の有名な曲を披露。そして「レクイエムよりビエ・イエズ」は、代表池田晴幸さんのソプラノコルネットと、平野絵理さんのフリューゲルホルンの甘くて美しい音のかけあいもあり、一度聴くと忘れられないと言われる美しい曲で観客を魅了しました。第一部最後は「ディズニー・ファンタジー」。「星に願いを」など華やかな曲調と金管楽器のダイナミックさが調和し、金管楽器ならではの魅力を存分に発揮しました。

 

第2部:高松市立多肥小学校金管バンド部の楽しいコンサート
 


第2部は司会から演出まですべて小学生におまかせしたプログラム。演奏前に、今回の友情出演となる高松市立多肥小学校金管バンド部の部員2名にお話を伺いました。

部長:嶋田彩乃さん(6年トランペット担当)

「多肥小金管バンド部はみんな元気いっぱいでパワフル。
人数が多いのでその分、音が大きいところが魅力。演奏会は緊張するけど大人の方に学びながら、まじめにしっかり楽しみたい。
(部活動をしてきた中で)ソロが上手く吹けなくて指摘されるときもあったけれど、そんな時は練習をたくさんして自信をつけるようにしてきた。」

 

 

副部長:川合晴太さん(6年トロンボーン担当)

「3年生からずっとトロンボーンをしている。
他の楽器には無いスライドが付いているところがかっこいいし、いろいろな音が出せることが魅力。
多肥小金管バンド部は、月・水・金曜日に1時間と、土曜日に3時間練習をしている。
失敗したり、うまく吹けなかったときは悔しかったけど、その分たくさん練習してきた。
楽しく真剣な時は真剣に、小学校生活最後の大きなイベントになるので悔いなく楽しく演奏したい。」


いよいよ第2部の幕開け。黒いベストに赤いチェック柄のズボンやスカートに身を包んだ3年生~6年生の約60名がステージに登場。

まずはキラキラのポンポンを手に持ちダンスパフォーマンスをしながら演奏された曲「トキメキダイアリー」。続いて「怪獣の花唄」と、小学生ならではの明るく楽しいステージが展開されていきました。

コンサート・マーチ「ディズニー・ワールド」は、ミッキーマウス、ミニーマウスのカチューシャを付けてからだを大きく揺らしながらの演奏。親しみやすさと心温まる演奏で観客を魅了しました。四国大会優勝曲「未来が変わる時」はパワフルなサウンド。ソロパートの児童が客席に向いて立ち演奏する姿にも観客席から自然と拍手が起こりました。



第3部:大曲に挑戦
 

今回は20周年という節目の演奏会ということもありメンバー一同で大曲に挑戦しました。
イタリアのレスビーギ作曲・交響詩「ローマの祭り」は、本当はオーケストラの曲なのですが、それを金管楽器の編成での演奏となります。
これについてKagawa Bras Rings代表の池田さんは「この挑戦は無謀のように感じるがパートリーダーたちと決めてやってきた。練習も大変だが、本番では一番いい演奏ができるのではないかと思っている。」と話していました。

ローマ3部作で有名な4つの祭りが途切れなく演奏され、ファンファーレからはじまり、猛獣の足音や楽しげな軽快なメロディ、優雅なダンスを想像させるロマンチックなメロディなど、ローマの情景が金管楽器のゴージャスなサウンドで繰り広げられ、一人ひとりの努力を感じ取ることができました。





フィナーレは多肥小学校の子どもたちも再登場。全員でお正月ソングを演奏。鏡餅や獅子などのかぶりものもあって、演奏する側のみんなで演奏することの楽しさ、音楽の楽しさが存分に伝わってくる楽しいステージでした。

今回の演奏会では、世代を超えたメンバーの努力と観客との一体感が生み出す、温かい感動が広がりました。特に子どもたちの活躍は未来への希望を感じさせ、音楽が地域の文化として受け継がれていることを実感しました。

次回の定期演奏会は2025年12月27日(土)14時からサンポートホール高松大ホールで開かれますKagawa Brass Ringsの公式FacebookやInstagramでは毎年4月ごろ、その年の演奏会に出演したい人を募集しています。

音楽に対する想いが強い個人が集まり、楽しみながら20年もの長きにわたり活動が続いているKagawa Brass Rings。
次回の定期演奏会も、ぜひ楽しみにしたいと思います。Kagawa Brass Ringsが奏でる音楽が、これからも地域に響き続けますように。

 

Kagawa Brass Rings 第20回定期演奏会

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